説教要旨(週報より)私にかまわないでください。5月1日

メッセージ週報より 『私にかまわないで下さい』 恩師の思い出 5 月1 日
『私はいのちをいといます。私はいつまでも生きていたくありません。私にかまわない
でください。私の日々はむなしいものです。』 旧約聖書 ヨブ記7:16

私の恩師K 先生は、「私にかまわないでください。」というのが口癖でした。ヨブも同じ
ことを語っているので驚きました。
K 先生は旧制高校時代に結核をわずらい、戦後、東大で助手をしながら研究を続け、
ケンブリッジ大学にも2 年留学されたエリートでした。95 歳まで生きて、教え子の誰にも死
期をさとられず家族だけで密葬されました。教え子たちが先生の死を知ったのはその十ヵ
月後で、すぐに盛大な偲ぶ会が開かれました。偲ぶ会が開かれる1 年前、私たち夫婦は、
家内の親友が重篤な病状にあることを知り、名古屋までお見舞い兼福音を伝えたい気持
ちで日帰り旅行をしました。その時、K 先生も御病気であるとは思い至らず、そのまま山形
に帰ってきました。今、考えると残念です。
話が前後しますが私が始めて教会に行ったのは1978 年です。そのきっかけは、「時間
がある時でいいから教授室に来るように」というK 先生からのメモが私の机の上に載ってい
たことです。ドアをノックすると「どうぞ、お入り下さい」と丁重に招き入れられました。こういう
時は要注意で、深刻な警告を受けることが多かったので緊張しました。用件は簡単でした。
「ねえ、ねえ、君は聖書を読んでいるかい?」それだけでした。まさか、私のような‘カガク・
命’みたいな生き方をしている者が、読むわけがないですよ、そんなこと聞かないでくださ
いと心の中で思い、胸を張り、「見たこともありません!」と自慢げに私は答えました。突然
の毒舌の攻撃を受けました。「だから君はダメなんですよ。」え?「いや、もういいから、出て
行ってください!」即座に教授室を追い出されてしまいました。
K 先生は、ケンブリッジ留学時に、聖書を読まない理科の学生はまるでダメという風潮に
触れ、熱心に聖書を読む習慣を身に着けたのです。私は教会に行って救われて、その後、
何度かK 先生に福音を伝えました。その度に、「聖書を君に勧めたけれど、本気で信じる
ようにとは言わなかった」と先生は弁解され、「大橋君はどうも本物になってしまった」と嘆
かれました。恩師は教養として、聖書を愛読しておられました。

それも感謝。私は、聖書に使える道に進路変更をすることになったわけです。